「Vガンダムの第1話は凄く良かった」
「なんで?」
「何が起きているのか全く分からないにも関わらず、登場人物の全員が自分が何をしているのか分かっていて緊迫感とドラマの盛り上がりだけは分かるからだ。画面が目が離せなくなる」
「話が分からないのに?」
「そうだ。そこはもう分からなくてもいいのだ。緊張感さえ伝わるなら。自発的に目が離せなければ、それだけで娯楽は成立する」
「それで?」
「うん。だからね。この第1話を意識的に作ったのなら、凄い演出センスだと思ったのだよ」
「Vガンダムだけ?」
「いや。衝撃Z編の第1話とか、昔ならダグラムの第1話が、いきなりずっと先の展開を見せられて意味は分からないけど凄いという内容だったから、やってやれない方法論ではない」
「それでこの話のオチは?」
「Vガンダムの第1話は、単にガンダムが出ていないと困るという理由で先のエピソードを前倒ししただけだった。つまんないオチだった」
「ダメじゃん」
「ところがね。Gレコはその先に進んだ」
「その先とは?」
「Gレコは第1話のみならず、全話がVガンダムの第1話」
「えー」
「どうも全部で6勢力が相互に戦っているらしいのだが、たかが26話2クールでそれだけの話を描ききれるわけがない。あれは見たって分からないのが前提なんだと思う」
「話は難しいの?」
「実は大筋では難しくない。惚れた女が実の姉であることが分かり、しょうが無いから戦争を止めて、ついでに富士山に登る話だ」
「それで君の感想は?」
「実はストーリー的には分からないことだかけれだったが面白かった。登場人物はそれぞれが自分のしていることを分かっていて真剣に取り組んでいることがひしひしと分かったからだ。だから、その人にとって望むことが起こったのか、望まないことが起こったのか、それだけは良く分かる。だから夢中になって見ることができる」
その他の感想 §
- アイキャッチのダンスが良かった
- メガファウナの操舵手の訛った口調が良かった
- 足メカに乗った法皇様
- 存在感のある軌道エレベーター
- 色とりどりの地上施設
- チュチュミィ
雑感 §
「富野監督とは、会ったことはないが、何か通じるものがどこかにある気がする」
「それはどういうことだい?」
「実は同時期にガンダムの新作が3本並んだのだ」
「Gレコとビルドファイターズトライとオリジンだね?」
「そうだ。しかし、ビルドファイターズトライとオリジンには何ら興味をも持てなかった。富野さんが作っているGレコだけなのだ。面白かったのはね」
「どこが違うんだい?」
「ビルドファイターズトライとオリジンはあくまでガンダムなんだよ。でもGレコはガンダムではないんだ。もっと別のものなんだよ」
「別ってなんだよ」
「そうだな。半分は名作劇場の世界に足を踏み入れているが、残りの半分は本物の宇宙に飛んで行っているような感じだろうな」
「ふーん。それでレコンギスタってなに?」
「知らん!」
「ぎゃふん」